暮れなずむ

日が暮れそうでなかなか暮れないそれを、暮れなずむ、といいますね。暮れなずむ街の、とはじまる歌がありましたから、その情景を眼にうかべる人は、ここにも多くいらっしゃることでしょう。 薄暮、という言葉を知りました。日暮れあとの...

三月のおわりに

自分が弱みと思った事ほど、ひとは魅力と見てくれ、ひとの強みに気づくことは、自分を謙虚にさせてくれます。優れてもなく、劣ってもなく、大きくもなく、小さくもない、今この時を、私たち最高のたのしみに。今日もいちりんあなたにどう...

The Lilly

花爛漫のざわめきのあとは、こんな白もいいものです。今日もいちりんあなたにどうぞ。 淑やかなバラでも、身を守る棘があり、 おとなしい羊でも、ときには大声を立てることがある。 ただし純白のユリだけは、愛そのもの、 その美しさ...

春霞

木蓮、まんさく、レンギョウ、コブシ。暑さ寒さも彼岸までといいますが、この花たちが咲きだせば、やっと寒さもぬけたのねと、春本番のきもちです。両手をひろげて迎えるように花咲くヒメコブシ。ゆったりたなびく春霞には、ほのかに優し...

のどかな春の日に

のどかな春の日つづく東京です。光りをもとめて黄色に染まる花あれば、色を求めてピンクに満たされる花もあり。音を奏でんばかりのオレンジも。春の真ん中に来ましたね。いかがお過ごしですか。北国にも春は届いたでしょうか。桜はこれか...

ラブレター

一日の終わり、時にはラブレターをあなたへ。今日もいちりんあなたにどうぞ。 文ちゃん。 僕は、まだこの海岸で、本を読んだり原稿を書いたりして 暮らしてゐます。 何時頃 うちへかへるか それはまだ はっきりわかりません。 が...

雑草も花に異ならず

ミカンの木の足元に、ちいさなスミレが咲きました。こうしてひとたび気がついて、花を手に取りよおく見れば、一瞬で世界は自分のものになるのです。雑草もまた花々に異ならず。今日もいちりんあなたにどうぞ。 自然の中でもっとも公平な...

ふれあい

ひとの眼に見えるものは、ひとの眼に見えない気持ちに触れている。ひとの耳に聞こえることは、ひとの耳に届かない気持ちに触れいる。と考えてみてはどうかしら。お互いの心が触れあうまえに。今日もいちりんあなたにどうぞ。 朝目覚めた...

春夜

「春の月夜の美しさ、この宵が授けるひとときには、まったく千金にも変えがたい趣きがあります。花は清らかに香り立ち、月は朧にかすみ、高殿から聞こえた歌声、管弦の音は、先ほどまでのにぎわいも過ぎて、今はかぼそく流れるばかり。中...

春雨

絹糸のようにしらしらと、降るとも見えぬ春の雨。そろそろ止んでもいいんじゃないかしらと思うのに、今朝もまだまだ降っています。けれどこうして木々を濡らし、蕾をほぐして恵みをそそいで、この雨があがればまた、春が数歩進んでいるの...

春分の日に

春分の日を迎えました。東京の空は隙間なく曇りきり、雨は折々に降っています。今日は十二月ほどの冷たさ、明日には四月の暖かさになるそう。三寒四温が続きますね。皆さまお身体には気をつけていらしてくださいね。 冬の名残りを頬にう...

桜 岡本かの子

欲望に抗うことなく恋愛に生きた、岡本かの子の奇妙な私生活。近年では小説や舞台にもなりましたので知られるところですが、歌人としては、おんな夏目漱石と評されるほどの天才歌人でした。 かの子の作品に、百三十八首の桜を歌った歌集...