洒涙雨(さいるいう)

このゆふべ 降りくる雨は彦星の
早こぐ船の 櫂の散りかも -万葉集
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-今日の夕べに降る雨は 彦星が
急いで漕ぐ船の 櫂の滴なのかな-
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「櫂」は西洋でいう「オール」のこと。
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七夕の夜に降る雨を、
織姫に逢いたい一心で彦星が漕ぐ、
櫂から滴るしずくに見たてています。
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陰暦七月七日に降る雨を
「洒涙雨(さいるいう)」といいます。
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この雨は
牽牛と織女が逢瀬のあと、
別れを惜しみ流す涙
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あるいは逢瀬が叶わなかった悲しみに
流す涙ともいわれる雨。
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日本には雨の言葉がたくさんありますが、
この「洒涙雨」も、陰翳深く美しくて
好きな言葉のひとつです。
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今年の七夕は二日あと。
ふたりの逢瀬は叶うかしら。
叶いますように。
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今日もいちりんあなたにどうぞ。
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デルフィニウム 花言葉「あなたを慰める」
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