歌を忘れたカナリアは


歌を忘れたカナリアは
後ろの山に棄てましょか
いえいえ それはかわいそう

歌を忘れたカナリアは
背戸の小薮に埋けましょか
いえいえ それはなりませぬ

歌を忘れたカナリアは
柳の鞭でぶちましょか
いえいえ それはかわいそう

歌を忘れたカナリアは
象牙の舟に銀のかい
月夜の海に浮かべれば
忘れた歌を思い出す

-かなりあ 作詞: 西条八十

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作詞の西条八十は幼い日、
クリスマスに行った夜の教会で
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会堂の中に灯された電灯のうち、
彼の真上の電灯一つだけ
ポツンと消えていることに気づきます。
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それは楽しいさえずりの中に
一羽だけ鳴くのを忘れた
小鳥がいるかのよう

「歌を忘れたカナリア」のような
印象を受けたのだそうです。
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歌を忘れたカナリアも
自分の居場所さえ見つければ
きっとまた美しい声で歌い出すのだ。
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ひいては傷つきやすい子供の心もそうだろう。
そんな想いから作られたというこの詩は、
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創作活動に行き詰まりを感じていた
当時の八十の心境を詩にしたとも言われています。
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詩を捨てたほうがいいのか、それとも
無理にも詩を作ったほうがいいのか、
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八十がそうであったように、
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人はオトナになっても
自由と孤独を行き来しながら生きている。
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今も昔も、
人はオトナになっても
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自分が弱いのか強いのか
わからなくなる。
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どっちをむいて
泣いたらいいんだろう
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どこに向かって
叫べばいんだろう
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心の在り方に悩んでいる。
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そうまるで
歌を忘れたカナリアのように。
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けれど歌を忘れたカナリアも
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自分の居場所さえ見つければ
ふたたび美しい声で歌い出すの。
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居場所とは
自由であり孤独でもあり、
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それはきっと、光です。
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今日もいちりんあなたにどうぞ。
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ヒマワリ 花言葉「あなたを見つめる」