静の苧環

いにしへの しづのをだまき 繰りかへし 昔を今に なすよしもがな~伊勢物語にあるこの節は、男目線で歌われたもの。「むかし織物をつむいだ苧環(糸の玉)から糸を繰りだしたように、あの人との楽しかった昔が、今また繰り返されたら...

春愁

日に日に暖かくなり、心うきたつ春。反面そこはかとない憂いに満ちたり、もの思いに耽るのも、この季節の通例のようです。胸の奥にあるかすかな痛み、なまりのような不安を思い出しては、胸がふさぐのを感じるこれぞ春愁。 けれどこうし...

ミモザの日

今日3月8日は国際女性デイ。日頃の感謝を込めて、男性から女性へ花束を贈る日として知られます。イタリアをはじめとする世界中の各地で、恋人だけでなく、母親、職場の女性たちに花を贈る日。大人だけでなく、小さな男の子だって、大好...

サクラサク

ご近所にある桜の木が満開になりました。まるで梅の花を見るような、濃紅色の早咲きは寒緋桜。沖縄など南の方ではおなじみのようですね。昔から花といえば梅に桜ですが、古事記の中の歌謡では、花といえば梅が主で、万葉集で花といえば桜...

啓蟄

今日は二十四節気の啓蟄(けいちつ)。土の中にいた虫たちも出てくる頃になりましたよ、というお知らせです。のちほどイベントにご招待いたします。春がきた春がきた、どこに来た。今年もご一緒しましょう。今日もいちりんあなたにどうぞ...

朧月

昨晩は朧月。ぼうっとしてはっきりしない様子を朧(おぼろ)といい、それを昼間に見れば霞(かすみ)といいます。あわい水滴をまとった春霞、ぼんやり丸いおぼろおぼろな春の月。こののどかで柔和な春の気配、ずっと包まれていたいと思い...

アネモネ

春のはじめに吹くおだやかな春風と共に花がひらき、二度めの風で花を終えるといわれるアネモネ。ギリシャ神話に登場するなど古くから愛されてきた花であり、聖書においては、イエスが弟子たちに語った『山上の垂訓』でふれた野の花が、こ...

色彩は自然の微笑み

色彩は自然の微笑み、と言った人がありましたが、春の色は見ているこちらまで微笑ましくなりますね。まろやかな光を感じさせてくれるし、懐かしく漂う匂いがあり、ひとつひとつに、のどかな景色が広がって。今日は楽しいひな祭り。あらた...

弥生

三月は弥生。草木がいよいよ生い出る、春の初め月です。ときには2月ほどに寒く感じる日、風の強い日もありますが、三寒四温をくりかえす中に、春を待つ思いがいっそう切実になってゆきます。明日は春のお節句、あっという間に三月。ひと...

花の笑み 三月

花の笑、花の顔(かんばせ) 花のくちびる、みな花の上をいふなり。花の笑とは、花が美しく咲くことを表します。花の顔は花咲く姿、くちびるは花弁のこと。「笑う」には「蕾が開く・花が咲く」といった意味もあり、そうと知れば尚いっそ...

つらつら椿

季節が消滅した都会、と言い切ってしまうのはさびしいけれど、手に取って確かめて季節を知る、が少なくなったとは云えましょう。 道々に花を見つけては嬉しくて愉しくて、今なら椿。肩を寄せ合うように咲くのもいいし、独りで咲いている...