つばきはじめてひらく

蕪村の俳句は景色が見えます。旅人であったし画家でもあったから、よむ句も道道の花々や、鐘の音やの景色が思い浮かばれて、まるで絵画を眺めるように思えます。ゆったりと写実的なのがよさですが、この句については今朝なぜに、お百姓に...

ひとはひと。

我執(がしゅう)とは、自分にたいする執着のこと。自分の中にある小さな考えにとらわれて、そこから離れられないことをいいます。表に見えないものという意をもって、心には(うら)との読みもあり、無意識のままにしていても、表面には...

随筆とエッセイ

松浦弥太郎さんが書かれた連載エッセイに『随筆とエッセイの違い』という回があり、そこに登場する、ある老紳士のお話がたいへん印象的で、折にふれては思い出します。抜粋・要約お許しくださいませ。 . 老紳士いわく『随筆とは本当に...

霜月

十一月になりました。秋の末から冬への渡り、霜で草木が白く覆われるほどの寒さになることから、霜月と呼ばれます。地面に土を見ることの少なくなった都会では、自然の佇まい、霜の降りたことにさえ、なかなか気つけないけれど、十一月は...

11月の終わりに

伝えたいことがあります。四つの季節にはそれぞれの美しさがあること。当季の花には輝くばかりの美しさがあり、おしまいの花にも、その花らしい余情があること。孤独を紛らわす花があること。色には言葉では表せない気持ちを伝達する無二...

寛容

寛容。心を広くもち人を受けいれること。過失をとがめだてせずに人を許すこと。我慢のあとの安らぎ、悲しみのあとの優しさ。憎悪のあとの責め、嫉妬のあとの虚しさ。人間はみな、身近な関係から違いを認めあっていくものですが、それはこ...

山茶花

群がって咲くのにお喋りをしない花、とは誰が言ったのだったかしら。山茶花。椿とよく似た花ですが、これら花の終いに違いがあり、椿はほとりと真っすぐに墜ちますけれど、この花ははらっと零れます。椿ほど敬虔とはいえぬし、どちらかと...