台風

與謝野晶子の随筆を読んでいたら、今から100年ほど前の大正時代には、台風とはまだ新しい言葉だったようで。古くは台風を「野分」といい、野の草を分けるほど強く吹くからそういいましたが、野分には台風とは違う、みやびた感がまだ残されているように思います。

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時代は遡り、枕草子の中には「野分のまたの日こそ いみじうあはれにをかしけれ(台風の翌日はどこか沁みじみとした趣がある)」とあります。

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趣深いとはいえど、野分のせいで、大きな木々や萩の花や女郎花といった秋草が、なぎ倒しになる様を傷ましくみている清少納言の心内が垣間見れる一節。これをうけ晶子は、自分が見ている秋の花はダリアであり、コスモスであり、この花たちが吹き倒される哀れさは、清少納言のそれとはまた違うと記しているから、また趣深い。

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台風が来て彼岸が過ぎれば、秋もすぐそこですね。おまたせしました(^-^)

今日もいちりんあなたにどうぞ。

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「台風と云ふ新語が面白い。立秋の日も数日前に過ぎたのであるから、従来の慣用語で云へば此吹降は野分である。」與謝野晶子『台風』

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ケイトウ 花言葉「色あせぬ恋」

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