生きていく

往年の名女優、高峰秀子をエッセイストとして知る人も少なくないでしょう。「人をこき下ろさせたら誰もかなわないほどの悪口の天才」と自称するほどであった、その毒舌とユーモアは奇才、江戸前な気風のよさも相まって、舞台が文業にかわっても、読者の心を強く惹きつけました。

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しかし子役に始まった女優人生は、小学校にも通うことをも許されず、いつしか大人の稼ぎ道具となります。なりたくもなかった女優で名を馳せても、心を砕くばかりの葛藤に苦しむばかり。それでも奇しくもめぐり逢えた、生涯の伴侶との結婚を機に、55歳で引退をしました。

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表だけでは見えないものが、人の人生にはたくさんあります。人には見えない心の内で、こだわっては心を乱し、人と比べては挫け、求めてはストレスをため、自分ばかりか、他人まで苦しめてしまったり。

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けれどそうしながらも、人は生きてるうちに、どれだけの人かと出会い、その中で何人かの幸せをくれる人に出会い、与えたい人にも出会えるのでしょうから。生きてなきゃ、わからないことばかりですね。今日もいちりんあなたにどうぞ。

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あの方達が同じ空の下で生きていてくれると思うだけで、幸せ。高峰秀子

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カーネーション 紫 花言葉「永遠の幸福」